ヒースの丘を眺めながら、深く息を吸う。そうして心を落ち着かせようとしていると、ふと、幼い頃のことが脳裏をよぎった。
幼い頃、お父様と何度かリリアードを訪れたことがある。
夏になると、赤紫色に染まるヒースの丘が大好きで、何度も連れて行ってとお願いをしたわ。そんなワガママを言う自分の姿を思いだしたら、可笑しくなってきた。
どこまでも続くようなヒースの花が咲く丘に、思い出の風景が重なる。
そうよ。あの頃、お父様と仲が悪いなんてことはなく、ワガママも言っていたわ。お父様は困ったように笑って──幼い日を思い出そうとすると、どうしても違和感が込み上げてくる。
記憶に間違いなんてない筈なのに。
ヒースの丘を眺めていると、こんなにも胸の内がほっと温かくなるのに。どうして私は違和感を感じているのだろう。
「ヴェルヘルミーナ様?」
「ダリア……私が幼い時、ここに連れてきてくれたのは、お父様よね?」
「はい。私もご一緒させて頂き、砦でもお仕事を見せて頂きました。とても勉強になったのを覚えています」
懐かしそうに微笑むダリアに、そうよねと頷き返しながら、再び窓の外へと視線を向けた。
幼い頃、お父様と何度かリリアードを訪れたことがある。
夏になると、赤紫色に染まるヒースの丘が大好きで、何度も連れて行ってとお願いをしたわ。そんなワガママを言う自分の姿を思いだしたら、可笑しくなってきた。
どこまでも続くようなヒースの花が咲く丘に、思い出の風景が重なる。
そうよ。あの頃、お父様と仲が悪いなんてことはなく、ワガママも言っていたわ。お父様は困ったように笑って──幼い日を思い出そうとすると、どうしても違和感が込み上げてくる。
記憶に間違いなんてない筈なのに。
ヒースの丘を眺めていると、こんなにも胸の内がほっと温かくなるのに。どうして私は違和感を感じているのだろう。
「ヴェルヘルミーナ様?」
「ダリア……私が幼い時、ここに連れてきてくれたのは、お父様よね?」
「はい。私もご一緒させて頂き、砦でもお仕事を見せて頂きました。とても勉強になったのを覚えています」
懐かしそうに微笑むダリアに、そうよねと頷き返しながら、再び窓の外へと視線を向けた。


