嫁いだ方が、まだ、外からレドモンド家を援助することだって出来る。家同士の交流を理由に、この屋敷へ足を運ぶことも可能だわ。でも、修道院に送られたら、待っているのは祈りの日々。新たに嫁の貰い手が見つからなければ、外との交流はなくなってしまう。

「無能なお前に、嫁ぎ先が出来たのだから喜びなさい」

 継母は高笑いしながら私に背を向け、部屋から出ていった。不快な声が遠ざかる。
 その場で棒立ちになっていた私は膝から崩れ落ちた。

「ヴェルヘルミーナ様、お気を確かに」

 控えていたダリアの声と、背中に添えられた手の温かさを感じて、辛うじて意識を保った。

 どうしよう。私には嫁ぐしか道がなさそうだ。

 セドリックの為に、私が出来ることを考えなくては。このままでは、継母に家をいいように扱われてしまう。

 混乱する私の耳元にダリアがそっと耳打ちをしてきた。

「侯爵様にお力添えを願いましょう。全てお話しするのです」
「えっ……でも、それは……」
「他に手はありません。早急に、ロックハート侯爵様とお会いしましょう」

 ダリアの真摯な眼差しに促された私は、頷く以外に答えを見いだせなかった。