「お前が無能だっていうことを、ロックハートは知らないのよ。この家の者以外で知るのは、ペンロド公爵夫人くらいでしょ」
赤い口が、まるで物語の悪女のようにつり上がる。
いいえ、ようにではなく立派に醜悪な悪女の笑みだわ。何を企んでいるかは分からないけど、きっと、レドモンド家にとって悪いことに決まっている。
「レドモンド家は、優秀な魔術師を輩出してきた家柄。当然、お前も優秀な魔女だと思ってるのだろうね。だから、その血が欲しいだけ」
パチンっと音を立てて扇子が閉ざされる。
継母の背後に、輝く光の玉がいくつも浮かび上がった。
「でも、お前は光すら灯せない無能。これほど面白いことがあるかい?」
ギラギラとした悪趣味なドレスが光に照らされ、これでもかと輝き出す。
愛しい弟のため、レドモンド家のために縁談を全力で断ろうと決意していた私の熱い心が、一瞬にして冷えた。
そう、私は無能な娘。魔術師の家系に生まれながら、何一つ魔法を習得できなかった出来損ない。
脳裏に、冷ややかなお父様の眼差しが浮かんだ。その落胆した物言わぬ亡霊が、小さくため息をついた。
赤い口が、まるで物語の悪女のようにつり上がる。
いいえ、ようにではなく立派に醜悪な悪女の笑みだわ。何を企んでいるかは分からないけど、きっと、レドモンド家にとって悪いことに決まっている。
「レドモンド家は、優秀な魔術師を輩出してきた家柄。当然、お前も優秀な魔女だと思ってるのだろうね。だから、その血が欲しいだけ」
パチンっと音を立てて扇子が閉ざされる。
継母の背後に、輝く光の玉がいくつも浮かび上がった。
「でも、お前は光すら灯せない無能。これほど面白いことがあるかい?」
ギラギラとした悪趣味なドレスが光に照らされ、これでもかと輝き出す。
愛しい弟のため、レドモンド家のために縁談を全力で断ろうと決意していた私の熱い心が、一瞬にして冷えた。
そう、私は無能な娘。魔術師の家系に生まれながら、何一つ魔法を習得できなかった出来損ない。
脳裏に、冷ややかなお父様の眼差しが浮かんだ。その落胆した物言わぬ亡霊が、小さくため息をついた。


