よりによって、ご長男のヴィンセント様だなんて。
お茶会にすら出たことのない私にだって、彼の噂は色々と舞い込んできている。
お一人で、一師団並みの魔力を有しているから誰も逆らえないとか、女嫌いでご縁談を断り続けているとか。他にも、ヒグマのような大男だとか、にこりとも笑わず、眼光だけで人を殺せるなんて話もあったわね。
それでも、ロックハート家の長男という肩書は魅力的だからか、ご令嬢を持つ諸侯の方々は諦めず、縁談を持ち掛けているらしい。
社交界に出たことのない私だから、噂のほとんどは、ダリアから伝え聞いたことだけど。真実でないとしても、そんな噂が立つってことは、一癖あるどころの話でもないわ。会話だって成立するか怪しいのに、結婚だなんて──
「む、む、無理です!」
「お黙り! お前はロックハートで、その無能な血をもって無能な子を成せば良いのよ!」
「……は?」
無能な子を成せば良いって、どういう意味よ。
全力で断る私に、継母は奇妙なことを言い始めた。
お茶会にすら出たことのない私にだって、彼の噂は色々と舞い込んできている。
お一人で、一師団並みの魔力を有しているから誰も逆らえないとか、女嫌いでご縁談を断り続けているとか。他にも、ヒグマのような大男だとか、にこりとも笑わず、眼光だけで人を殺せるなんて話もあったわね。
それでも、ロックハート家の長男という肩書は魅力的だからか、ご令嬢を持つ諸侯の方々は諦めず、縁談を持ち掛けているらしい。
社交界に出たことのない私だから、噂のほとんどは、ダリアから伝え聞いたことだけど。真実でないとしても、そんな噂が立つってことは、一癖あるどころの話でもないわ。会話だって成立するか怪しいのに、結婚だなんて──
「む、む、無理です!」
「お黙り! お前はロックハートで、その無能な血をもって無能な子を成せば良いのよ!」
「……は?」
無能な子を成せば良いって、どういう意味よ。
全力で断る私に、継母は奇妙なことを言い始めた。


