継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします

 どんなに執事が止めても、持ち合わせが足らなくても、次から次にドレスや宝飾品を買ってくるのは、ある意味、才能だと思う。魔法とは全く関係ないけどね。

『お前は金勘定をするくらいしか出来ないのだから』

 帳簿を見ながら、激高した継母の言葉を思い出し、たまらず深い息を吐いた。
 その金勘定あっての贅沢だということを、あの人は微塵も分かっていないのよね。お父様がご存命の時は、もう少し大人しかったのに。

「……本性を隠していたのね」

 ぽつり呟きつつ、ふと違和感を覚えて首を傾げた。
 お父様は仮にも国の北東部を預かる魔術師団、第五師団の団長だった人よ。そのお父様が見抜けなかったなんてこと、あるのかしら。

 顔を上げ、壁にかかる亡きお父様の肖像画を見つめる。にこりとも笑って下さらない姿は、当然だけど何も語ってくれない。でも「お前には真実が見えていないのか」といっているようにも見える。

 お父様は、いつだって厳しかったから、生きていたとしても、自分でどうにか道を切り開けとしかいわなそうだわ。