継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします

 それに、継母に十分なお金を持たせたつもりでも、毎回、それ以上に使い込んでくるのよ。それを考えたら胃まで痛くなる。

 王都まで出向くと必ずといっていいほど、お金が足りないといって借金をこさえてくる。どんなに執事が止めても聞く耳をもたないし、贅沢三昧は義務だといわんばかりの振る舞いをする。

 きらびやかな格好で高笑いする継母の姿を思い浮かべ、気が重くなった。

「……ペンロド公爵夫人も、よく飽きずに、あの人を何度も呼び寄せるわ」

 あんな品のない人、どこがそんなに気に入ったのだろう。有力貴族の出自って訳でもないのに。

 継母は、西の外れにあったヘクター子爵三男様の末娘らしい。遠い昔に爵位をはく奪され、一家散り散りになったらしいけど、あの人は魔法の才を見出され、中央で名を馳せた──という話を、亡きお父様から幼い時に聞いたことがある。

 あの人が魔法を使ったところなんて一度も見たことないけど。