継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします

「それより、ステラ・シュタインのことを思い出してくれて、ありがとう」
「もっと早く申し上げるべきでした」
「そんなことはないわ。どのみち、あの人は私を叩かないと気がすまないもの。しばらくはステラ・シュタインのショールを自慢げにつけてお茶会へいってくれるといいんだけど」

 それも一ヶ月もつかどうか。
 根本的に、継母を大人しくさせる方法が見つかればいいんだけど。例えば巷の小説のように、悪女を断罪するような事実が発覚するとか。

 あの継母が自分の不利になるようなことを、晒すとは思えないけど……小さくてもいいから、なにか一つでも悪事を証明できないかしら。

 椅子の背もたれに体を預けると、ダリアが「失礼します」と言って私の頭に手を添えた。

 ズキズキと脈打っていた頭に、ひやりとした空気がのしかかる。でもそれは不快な重さではなく、じわじわと熱を包み込んで和らげてくれる心地よいものだ。

「ダリア。いつも、ありがとう」
「私の氷魔法が役立って光栄です。……頬も、腫れておりますね。そちらも冷やしましょう」

 ダリアの白い手が、頬に添えられた。