継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします

 それは、先祖代々が守ってきた領民の作る魔法繊維のおかげです。と言う訳にもいかず、静かに「お継母様のおかげです」と返せば、音を立てて扇子が広げられた。

「お前は金勘定をするくらいしか出来ないのだから、この母に(みじ)めな思いをさせるんじゃありませんよ。分かったら、新しいドレスの注文を急ぎなさい、ヘルマ!」

 身勝手な言葉を並べ立てた継母は、高笑いをしながら執務室を出ていった。

 どっと疲れを感じながら、叩かれた頭を抱えた。こんなことで泣いていたら身体がもたないとはいえ、痛みを感じないわけではない。

「ヴェルヘルミーナ様、お助けできず申し訳ありませんでした」
「いいのよ。あの程度なら慣れているわ」

 ダリアに心配をかけまいと、なんとか笑顔を維持する。だけど、彼女は少し傷ついたような表情を浮かべて頭を下げた。