継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします

 だけど、お父様がお屋敷に戻るのを避けているようにも感じたの。

 今思えば当時の私は、幼いながらケリーアデルに違和感を覚えていたんだわ。

 今目の前でヒステリックに騒ぎ立てる姿は、あまりにも見苦しい。

「貴族というのは血を重んじます。女は子を成さなければ認められません」
「レドモンド家には、すでにセドリックがいるでしょ! あなた達は小さかった。だから、私は教育を──」
「多くの子がいれば多くの貴族と繋がりを作れます。それに、私の養育がされた事実はありません」
「何をいいだすの!? 無能なあなたに私がどれだけの本を与え、読み書きを教えたのか忘れたの!?」

 ケリーアデルの金切り声がむなしく響いた。

 そうね。レドモンド家の書庫に閉じ込められ、目の前に難しい本を山積みにされ、読み終わるまで出てくるなといわれたことを覚えているわ。

 お腹がすいて泣いていたら、お姉様とダリアがこっそりナッツやクッキーを持ってきてくれた。それをポケットに忍ばせて、ひたすら本を読んだわ。

 物は言いようね。あれが教育だなんて、笑っちゃう。