乱れる気持ちを整えようと深く息を吐き出したときだった。
私の肩に、ヴィンセント様の手が添えられた。見上げると、そこに優しい琥珀色の瞳がある。
大丈夫、私は一人じゃない。
大きく息を吸い、真っ直ぐにケリーアデルを見る。
私が告げなくてはならない。自分の手で、彼女を追い出すのよ。
ヴェルヘルミーナ、貴女は無能なんかじゃない!
「ケリーアデル。貴女をこの場に呼んだのは、祝福を頂こうと思ってのことではありません」
震えそうになる声を抑え、醜悪にこちらを睨むケリーアデルから一寸たりとも視線を逸らさず、私は続けた。
「貴女と父には婚姻の事実はありませんでした。よって、ケリーアデルと亡き父アルバート・レドモンドの婚姻の無効を申し立てます!」


