継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします

 屋敷のエントランス前に立ち、ヴィンセント様と見つめ合う。
 もう後戻りは出来ない。

 私たちの後ろには、参列する証人であるお祖母様とローゼマリア様、フォスター公爵夫妻、ペンロド公爵夫妻、継母ケリーアデル、ダリアとレスターさん、それとお屋敷の使用人一同が並んでいる。

 エントランス前に広がる美しい庭園は日差しを浴び、私の門出を祝うように輝いていた。
 風がそよぎ、甘い花の香りが届く。

「これより、神の御導きにより巡り合いし、お二人の結婚式を執り行います」

 私たちの前に立つ、穏やかな顔をした初老の司祭様が、少しだけ微笑まれた。

「新郎ヴィンセント、あなたはここにいるヴェルヘルミーナを、病める時も健やかなる時も、喜びの時も悲しみの時も、神の試練が降りかかりし時も妻として愛し敬い、慈しむことを誓いますか」
「はい。誓います」
「新婦ヴェルヘルミーナ──」

 繰り返される言葉を聞き、高鳴る鼓動を抑えるように、私は美しいブーケを強く握りしめた。

「はい。誓います」