継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします

「お父様は……私たちを見捨てたわけじゃなかったのですね?」
「もちろんだ。砦におられる時は常に、レドモンド家のことを憂えていた。命が残りわずかだと察してからは、どう、子どもたちを助けるかばかり、考えていらっしゃった」 

 セドリックが帝国にいらっしゃるお祖母様のところへ向かうことになったのが突然だったのも、もしかしたら、死期を悟ったお父様が早々と根回しをされていたのかもしれない。

 寡黙なお父様らしいといえばそうね。

 私たちに本心を語ることなくすごしていたのかと思うと、胸が苦しくなった。どんなに辛かっただろう。どうして、助けてあげられなかったのか……

 頬を濡らした涙を、ヴィンセント様の指がそっと拭った。

「レドモンド卿の葬儀がすみ、すぐにでも貴女をロックハートへ招くつもりだった。しかし……」
「私がそれを断ることで、拗れてしまったのですね」