継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします

 本物はどこかで、あの女を操って姿を眩ましている……それって、大変なことじゃないかしら。

「……それでは、幻惑の魔女は隠れながら世の中に混乱を招くことが出来るのですか?」
「ああ。そして、ケリーアデルは、幻惑の魔女か魔力を与えられた者のどちらかだろうと目星をつけていた」
「それで、候補なんですね」
「そういこともあって、周りは再婚を止めたんだ」

 私の身体をぎゅっと抱きすくめたヴィンセント様は、低く「私も反対だった」と呟いた。

「ヴェルヘルミーナを危険な目に遭わせる気かと詰め寄ったが、レドモンド卿は『娘のことは私が守る』の一点張りだった。今思えば、既に幻惑の魔女に取り込まれていたのかもしれない……娘を思う気持ちに付け込まれて」
「……お父様」
「すまない。私たちには、お父上を正気に戻せるだけの力がなかった。砦にいるときは、いくらか魔女の幻惑が緩まったため、なるべく長いこと砦に留まるよう計らっていたのだが……それが、レドモンド家の混乱を招く要因になってしまった」

 お父様が屋敷に寄り付かなかった理由が分かり、私はほっとした。