継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします

 お父様が、継母を立派な魔女だといっていた意味がやっと分かった気がした。

 お父様の選択や厳しい躾は今思い出しても、一つも嬉しくない。でも、そこに愛がなかったわけではなかった。

 見えた気がする事実は、小さな救いに思えた。

「……ヴェルヘルミーナ、驚かないで聞いてくれ」
「もう、ずっと驚くことばかりですわ。まだ、何かあるのですか?」
「ああ……ケリーアデルは、幻惑の魔女候補だった」

 突然降ってきた言葉に、私は声すら出なかった。
 候補ってなんだろう。

「幻惑の魔女は、隠れるのが上手くてな。自分の力を一時的に分け与えることが出来る」
「……分け与える?」
「木を隠すなら森の中……自分の魔力を他者に与えることで、雲隠れするんだ」
「そんなことをしたら、幻惑の魔女は力が弱まるのではないですか?」
「いや。分け与えたものが失われるわけではない。その力をもって他者を操れるし、魔力の回収も出来る」

 ヴィンセント様の話を頭の中で整理しながら、考えた。
 つまり、継母は幻惑の魔女のダミーかもしれにってこと?