継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします

「亡きお母様を見送るお父様を見て、この人は神ではないと、分かったんです。神なら、お母様を生き返らせることが出来ただろう。お父様は私と同じ人なんだって」

 それと同時に、私はお母様との別れを受け入れた。
 誰もお母様を戻すことは出来ない。どんなに求めても、帰ってこない。例え、偉大な魔術師だとしても。

 すごく悲しかった。お姉様と手を繋いで泣きたい気持ちを我慢した。

 お父様が泣かないのに、私が泣くわけにいかない。──自分に言い聞かせようとしながら、結局、涙がぽろぽろとこぼれてしまったのを覚えている。

「レドモンド卿は、父親でいたかったのだろう。神ではなく、砦を守る魔術師団長でもなく、父として見ていてほしかった。他の何者でもなく、父親になりたかったんだ」
「父親、に……?」