ヴィンセント様の指が髪を撫で、首筋に触れる。そのくすぐったさに身をすくませると、彼はくすりと小さく笑った。
「そんなに怯えられると、イケナイコトをしている気になってしまうよ」
「──!? お、怯えてなどいません。た、ただ、その……こういった場面は、慣れておりません、ので」
尻窄みになって、ごにょごにょと言えば、ヴィンセント様は目を細めて「私もだ」と呟いた。
二人も奥さまがいた人の言葉とは思えず、目をぱちくりとさせていると、再び身体が彼の腕の中に引き込まれた。
「本当に美しく育った。お父上は、貴女を遺していくのがさぞ心残りだっただろう」
「……お父様が、ですか?」
「意外だと言いたそうな顔だな」
「そ、それは……お父様は、無能な私を疎ましく思っていたので……」
幼い頃、優しい言葉なんてかけてもらえなかった。
ヴィンセント様のように頭を撫でてくれなかったし、抱き締めてももらえなかった。いつだって、私に厳しかったお父様……
「お父上は、貴女が強く生きられるようにといっておられた」
「そんなに怯えられると、イケナイコトをしている気になってしまうよ」
「──!? お、怯えてなどいません。た、ただ、その……こういった場面は、慣れておりません、ので」
尻窄みになって、ごにょごにょと言えば、ヴィンセント様は目を細めて「私もだ」と呟いた。
二人も奥さまがいた人の言葉とは思えず、目をぱちくりとさせていると、再び身体が彼の腕の中に引き込まれた。
「本当に美しく育った。お父上は、貴女を遺していくのがさぞ心残りだっただろう」
「……お父様が、ですか?」
「意外だと言いたそうな顔だな」
「そ、それは……お父様は、無能な私を疎ましく思っていたので……」
幼い頃、優しい言葉なんてかけてもらえなかった。
ヴィンセント様のように頭を撫でてくれなかったし、抱き締めてももらえなかった。いつだって、私に厳しかったお父様……
「お父上は、貴女が強く生きられるようにといっておられた」


