継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします

 ヴィンセント様は嘘をつく人じゃないだろうけど、でも、私を安心させるために作り話をしているのかもしれない。

 何が真実なのか探るように、ヴィンセント様をじっと見つめた。

「魔力はその体内にあった。だけど、どういうわけか、火を点すことすら出来なかったそうだ」
「……それは、お辛かったですね」
「いいや、そうでもない。魔法が使えなくても死ぬことはないと、両親──私の祖父母は笑い飛ばして、母を外に連れ出したそうだ。魔法に代わるものを学ばせようとしたのだろう」

 その言葉に、幼い私の姿が重なった。
 魔法がなくても、お姉様の力になりたい。セドリックのために家を守れる知識が欲しい。
 私は必死だった。

「そうして、父と出会い、魔法のことを一から学んだそうだ。その時に、義母上とも親しくなったと聞いている。むしろ、義母上との交流が深かったそうだ」