じっと視線を送っても動じないダリアは、運んできた質素なティーセットを机の端に置いた。さらに、可愛らしい焼き菓子の載る小皿も置かれる。

「お菓子をつける必要はないって言ったでしょ?」

「朝食を、あまりお召し上がりにならなかったので、料理長が心配していました」

 淡々と告げられ、今朝のことを思い出した。

 いつも昼近くまで起きない継母が、珍しく朝食を食べると言って食堂に現れたのよね。

 無能の顔を見ていると食事がマズくなる。そう言うだろうことは用意に想像できた。
 だから、私も食事を始めたばかりだったけど、今朝は食卓が騒然となる前に退席したのよね。

 そのことで料理長に気を遣わせてしまったみたいね。

「朝のお食事を、執務室に運びますか?」
「ダリア、私を早朝からここに軟禁するつもり?」

 苦笑しながらも、彼女の心遣いを嬉しく思った。

「まぁ、そのことはまた後で話しましょう。それより、届いたお茶会の誘いへの返事、代筆をお願いしたいの。私の分はお断りでね」