恥ずかしさに頬を熱くしていると、ダリアが私の手を少し強く握りしめた。
「他にも、ヴェルヘルミーナ様が誰よりも、魔法について学ばれてきたこと、お家を守るために必死だったこと……お側でずっと見て参りました」
「ダリア……貴女がいてくれたから、私も頑張れたのよ。一人じゃ、とっくにいじけてたわ」
「もったいなきお言葉です。これからは、私だけじゃありません。ロックハート家の皆様とアーリック族が、お力添えくださるのです。魔法が使えないことがなんですか。そんなのは些細なことです」
握られる手を見つめ、目頭が熱くなった。
寂しい夜に、いつも側で笑ってくれた。こうして手を握り、お側にいますと何度も言ってくれた。彼女にどれだけ救われ、守られてきたことか。
「お家のことも、無事に婚礼が済むまでご心配なく。我が父をはじめ、古くから仕える者達が守っております」
「ダリア……」
「何もご心配なさらず。私たちが、お守りいたします。だから……胸の内を隠さずに、どうかまた、昔のようにご相談ください」
「ありがとう。信じるわ」
優しい手を握り返せば、微笑んだ彼女は「飲み物を頂いて参ります」といいながら立ち上がった。


