継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします

「アーリック族が味方になることです。ヴィンセント様との関係も良好のようですし」
「それは、そうね」

 亡きクレア夫人はアーリックの禁を侵してヴィンセント様を産んだのだから、普通に考えたら、もっと険悪な間柄でもおかしくない。
 さらに、私はロックハート侯爵家とは対立する家門の娘。となれば、いい顔をされるだなんて思わないじゃない。

 ヴィンセント様が一泊するといっていたけど、最悪、追い返されるんじゃないかって心配すらしてたわ。

 でも、そんなことはなかった。
 
 振る舞われた晩餐は、森の豊かさが分かる豪華なものだった。この部屋を見たって歓迎されていることがよく分かる。
 ここまで友好的に迎えられるとは、夢にも思わなかったわ。

 トランクを閉じたダリアが、小さく「だけど」と呟いた。

「魔女の話は驚きでした」
「……そうね」
「申し訳ありません! ヴェルヘルミーナ様を不安にさせるようなことをいってしまいました」

 私が言葉をつまらせたことを心配したのか、ダリアは頭を下げた。別に、彼女を責めるつもりは微塵もない。