ライサには、あなたの選んだリボンと一緒にお菓子を贈ったらどうかしら。私であれば、それだけでも嬉しいものです。そう手紙を書こう。
 豪華なものでなくても良い。それに、宝石とドレスを贈るにはまだ早いでしょうからね。

 手紙をそっとしまうと、見計らったように執務室のドアがノックされた。

「どうぞ」
「ヴェルヘルミーナ様、お茶をお持ちしました」

 姿を見せたのは、私の幼馴染みでもある侍女のダリアだ。デール子爵の三女で、私の三つ年上になる。
 そろそろ結婚をしたらと言っても「ヴェルヘルミーナ様が良き伴侶を得るまで、お側に仕えます」の一点張りなのよね。

 ダリアの髪は栗色で、髪一筋のほつれも許さないとばかりに、きっちりと濃紺のリボンでお団子に結い上げられている。服装も飾り気のない紺のドレスで動きやすさ重視。何から何まで頑固なダリアらしい格好だわ。

 切れ長の瞳は、夏の山々を思わせるような深い緑色をしていて、とても美しい。お顔だって凛としていて美人なのに、このまま未婚だなんてもったいないと思うのよね。