継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします

「案ずるな。もしも、幻惑の魔女が貴女を害するなら、私が守ろう」
「……ヴィンセント様?」
「大丈夫だ。私がいる」

 見つめる琥珀色の瞳が優しく輝く。それを見ていると、不思議と不安が晴れていくようだった。

「やれやれ。坊ちゃまは甘い……しかし、魔女の力が必ず開花するとは限らぬのも事実」
「……そうなのですか?」
「うむ。しかし、それでも二つの花は引き合う。それを覚悟されよ」

 ウーラさんの静かな忠告に、私は頷くことすら出来ずに硬直した。

 話が終わりサンルームを後にすると、歓迎の食事が開かれた。
 ヴィンセント様が仰られていたように、夜会のように格式ばったものではなく、まるでお祭りを楽しむように食事が振舞われた。

 アーリックの人々は想像以上に友好的で、あれが美味しいから食べたらいい、これを飲んでみろと、いくつもの料理が取り皿に盛られた。