継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします

 無能な私は、その通説を覆す存在となってしまった訳だけど──膝の上で拳を握りしめていると、ウーラさんはシワの刻まれた顔に笑みを浮かべた。

「魔力が小さいも大きいも、大した差はないがの」
「……え?」
「それよりも注視せねばならぬのは、特殊な能力に目覚めた者たちだ。その開花は生まれてすぐのこともあれば、死ぬ間際の場合もある」
「……特殊な能力? 魔法とは、違うのですか?」

 私の問いに頷いたウーラさんは、持っている杖で足元をコツコツと叩いた。すると、風もないのに花々がさわさわと動き出したではないか。
 揺れ動いて奏でる音はまるで、何かを囁いているようだ。

「特に注視すべきは、二つの花」
「……花?」
「十年前、二つの星が落ちた夜に、二つの花が咲いた。一つは月夜の光を浴びて輝く白き花。一つは月夜でも(くら)く深い闇に染まる花」
「二つの星と、花……」