継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします

 倒れる前のことを思い出す。

 彼と幼い頃に会っていた。それも幼いながらに好意を寄せていた相手だと知ったのは、確かにショッキングだったけど。私が倒れたこととは関係ないわ。
 ヴィンセント様に非がないもの、あまり責めるのは可哀想よね。


「ローゼマリア様、私はもう大丈夫です。少し疲れが出ただけでしょうから……それよりも、ご相談があります」
「ヴェルヘルミーナ……レドモンド家のことですか?」

 ベッド横の椅子に腰を下ろしたローゼマリア様は、私の手をそっと握りしめた。その顔は、私を案じているからか、まだ少し不安そうな表情を浮かべている。

 ヴィンセント様には交換条件があると伝えてはいるが、きちんとお話をして、継母を追い出す手立てを一緒に考えてもらわなければ。

「どうか、お力をお貸しください」

 ローゼマリア様の手に、片手を重ねた私は、継母がこれまで行ってきたことを全てお話した。