継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします

 さっさとドアに歩み寄ったダリアが扉を開けると、ヴィンセント様の声が聞こえてきた。

「そろそろ目を覚ます頃かと……あぁ、やはり起きていたか。入って良いかな?」

 顔を出したヴィンセント様は、少し申し訳なさそうに微笑んで吐息をついた。

「そのままでいい。今、少し話を──」
「ヴェルヘルミーナ! 気分はいかが?」

 入り口で穏やかに話していたヴィンセント様の言葉を遮り、割って入ってきたのはローゼマリア様だった。今にも泣き出しそうな顔で、私の横になるベッドまで小走りで近づいてくる。

「ローゼマリア様──!?」
「長旅で疲れていたのに、休ませもせず振り回してしまって、ごめんなさい。熱はない? どこか痛いところがあったら遠慮なく言うのですよ」