◇◆◇
声が聞こえる。誰かしら。
何か、大切なことを言っている気がするわ……
「目を覚まして。あなたの──を思い出して」
嗚呼、肝心な部分が聞こえない。
霧がかかっているようで、風が轟々と吹くように言葉を消してしまう。
私は何を忘れているというの。何を思い出さなくてはならないのかしら。それは、ヴィンセント様のことなのか。それとも、もっと別の何か──
重たい目蓋をあげると、見慣れないベッドの天蓋が視界に映った。
だけど、すぐには状況が理解できず、豪勢なベッドの上に横たわったまま、ぼんやり夢と現を漂っていた。
ベッドはとてもふかふかで、頭がたくさんのクッションに埋もれている。シーツも真っ白でさらさら。仄かに香るのはラベンダーの精油を薄めたものかしら。とても心地が良いわ。
こんなに気持ちのいい寝具で眠るのは何時ぶりかしら。お母様がお元気だったころ以来──再び目を閉ざしそうになった私は、ハッとして体を起こした。
「お目覚めですか、ヴェルヘルミーナ様」
声が聞こえる。誰かしら。
何か、大切なことを言っている気がするわ……
「目を覚まして。あなたの──を思い出して」
嗚呼、肝心な部分が聞こえない。
霧がかかっているようで、風が轟々と吹くように言葉を消してしまう。
私は何を忘れているというの。何を思い出さなくてはならないのかしら。それは、ヴィンセント様のことなのか。それとも、もっと別の何か──
重たい目蓋をあげると、見慣れないベッドの天蓋が視界に映った。
だけど、すぐには状況が理解できず、豪勢なベッドの上に横たわったまま、ぼんやり夢と現を漂っていた。
ベッドはとてもふかふかで、頭がたくさんのクッションに埋もれている。シーツも真っ白でさらさら。仄かに香るのはラベンダーの精油を薄めたものかしら。とても心地が良いわ。
こんなに気持ちのいい寝具で眠るのは何時ぶりかしら。お母様がお元気だったころ以来──再び目を閉ざしそうになった私は、ハッとして体を起こした。
「お目覚めですか、ヴェルヘルミーナ様」


