再び広げられた扇子とともに、継母の顔が耳元に寄せられる。
「無能なお前が、良き伴侶なんて望むんじゃないわよ」
耳元で告げられる嘲りに、唇を噛んで耐えた。
そうか。ハンカチで口元を隠した私を見た継母は、私が彼の姿にときめいて頬を染めていると勘違いしたのね。お父様が、良き伴侶をなんていったからだわ。
そんなこと、微塵も考えていなかったのに。
だって私は恋愛をするどころか恋愛小説を読む暇すらないのよ、無能と蔑まれて毎日を送っているのに、どうして男性との結婚を思い描くような乙女思考になれるっていうの。
今日からお姉様はいない。
継母から私を守ってくれる人は、もういないのよ。
「無能なお前が、良き伴侶なんて望むんじゃないわよ」
耳元で告げられる嘲りに、唇を噛んで耐えた。
そうか。ハンカチで口元を隠した私を見た継母は、私が彼の姿にときめいて頬を染めていると勘違いしたのね。お父様が、良き伴侶をなんていったからだわ。
そんなこと、微塵も考えていなかったのに。
だって私は恋愛をするどころか恋愛小説を読む暇すらないのよ、無能と蔑まれて毎日を送っているのに、どうして男性との結婚を思い描くような乙女思考になれるっていうの。
今日からお姉様はいない。
継母から私を守ってくれる人は、もういないのよ。


