城門を越えてから馬車に乗り、直接水晶宮まで移動する。
馬車を降りた先は大きな噴水を中心に、色とりどりの花が咲く庭園が宮を囲んでいた。
コバルトブルーの屋根に白い壁。
柱には水晶が散りばめられており、神秘的で美しい。
水源に恵まれた国のシンボルカラーは青。
水晶宮も美しいが、その他の城や離宮も同等に煌びやかだ。
建物もほとんどが青い宝石から名前をつけられており、本宮は蒼玉宮と呼ばれていた。
「メメリアさん」
「はっ……はい!」
青と白のコントラストに目を奪われていると、シルヴィアが足を止めてメメリアに振り返る。
あやうく背中にぶつかってしまうところだったとメメリアはそろ~っと目を反らし、ホッと息を吐いた。
「あちらにいらっしゃるのがネリウス王子です」
シルヴィアの示した方向に目を向けると、ガーデンテーブルで紅茶を飲みながら足を伸ばしている。
周りには三名ほどの貴族令嬢がキャイキャイとネリウスを囲んでおり、三段重ねとなったケーキスタンドのスイーツを皿にとって楽しんでいた。
それだけならまだ令嬢たちにモテる王子様像で済んだ。
だがメメリアはその場で繰り広げられる光景にカッと目を開き、ワナワナと震えだす。
「シルヴィア様。あれはいったい……」
「水晶宮で働くのですからすぐにわかるでしょう。……王子はその、なんというか。非常に華やかがお好きな方です」
令嬢がケーキを一口フォークにさすと、「あ~ん」と甘ったるい声を出してネリウスに食べさせている。
次から次へと令嬢が名乗り出て、まるで正妻の座は自分だと言わんばかりの静かな戦争が起きていた。
馬車を降りた先は大きな噴水を中心に、色とりどりの花が咲く庭園が宮を囲んでいた。
コバルトブルーの屋根に白い壁。
柱には水晶が散りばめられており、神秘的で美しい。
水源に恵まれた国のシンボルカラーは青。
水晶宮も美しいが、その他の城や離宮も同等に煌びやかだ。
建物もほとんどが青い宝石から名前をつけられており、本宮は蒼玉宮と呼ばれていた。
「メメリアさん」
「はっ……はい!」
青と白のコントラストに目を奪われていると、シルヴィアが足を止めてメメリアに振り返る。
あやうく背中にぶつかってしまうところだったとメメリアはそろ~っと目を反らし、ホッと息を吐いた。
「あちらにいらっしゃるのがネリウス王子です」
シルヴィアの示した方向に目を向けると、ガーデンテーブルで紅茶を飲みながら足を伸ばしている。
周りには三名ほどの貴族令嬢がキャイキャイとネリウスを囲んでおり、三段重ねとなったケーキスタンドのスイーツを皿にとって楽しんでいた。
それだけならまだ令嬢たちにモテる王子様像で済んだ。
だがメメリアはその場で繰り広げられる光景にカッと目を開き、ワナワナと震えだす。
「シルヴィア様。あれはいったい……」
「水晶宮で働くのですからすぐにわかるでしょう。……王子はその、なんというか。非常に華やかがお好きな方です」
令嬢がケーキを一口フォークにさすと、「あ~ん」と甘ったるい声を出してネリウスに食べさせている。
次から次へと令嬢が名乗り出て、まるで正妻の座は自分だと言わんばかりの静かな戦争が起きていた。



