メメリアの前では強気でも、普段は温厚で有無を言わない控えめな性格。
聖女用の顔と知っているだけに、セリアが苦しむ姿を見たくなかった。
(メメリア。よく考えて。今こそセリア様に恩を返すときでは?)
ずっと聖女見習いとして傍にいた。
だがそれだけでセリアを守ってきたわけではない。
セリアを守るためならば何でもすると血を吐く想いをしてきた日々。
今こそ、メメリアの本領を発揮する時だ――。
覚悟を決めたメメリアは立ち上がり、扉に両手をつくと力づくで開く。
勢いに押されたセリアが前のめりになり、慌てて扉の脇に避難する。
そこにすかさずメメリアは入り込み、セリアの手を取ると気合いに鼻の穴を膨らませた。
「和平のためとはいえ、聖女様をあの悪評高い王子のもとへ嫁がせるなんてありえません! あたしがウワサの真相を確かめてまいります!」
「へっ!? メ、メメリア……?」
そうだ。
まずはセリアの憂いを取り除くことが第一だ。
下手に婚姻を断れないならば、相手から引かせればいい。
とはいえ、人のうわさは当てにならない。
極端に歪んだウワサなんていくらでもあるのだから、ネリウス王子も意図的に歪められている可能性がある。
性に奔放な人を嫌がるセリアでも、誤解して嫌ったままでいるのは望まないはず。
ならばメメリアがすべきことは、噂の真相を確かめ、セリアを安心させること。
……好きな人がいると告げられれば、一抹の不安はあるけれど。
真相を知り、どうするかはセリアが決めること。
メメリアはそれに従うだけ。
好きな人との愛を貫けと言いたいけれど、セリアの迷いも意志も奪いたくないから。
聖女用の顔と知っているだけに、セリアが苦しむ姿を見たくなかった。
(メメリア。よく考えて。今こそセリア様に恩を返すときでは?)
ずっと聖女見習いとして傍にいた。
だがそれだけでセリアを守ってきたわけではない。
セリアを守るためならば何でもすると血を吐く想いをしてきた日々。
今こそ、メメリアの本領を発揮する時だ――。
覚悟を決めたメメリアは立ち上がり、扉に両手をつくと力づくで開く。
勢いに押されたセリアが前のめりになり、慌てて扉の脇に避難する。
そこにすかさずメメリアは入り込み、セリアの手を取ると気合いに鼻の穴を膨らませた。
「和平のためとはいえ、聖女様をあの悪評高い王子のもとへ嫁がせるなんてありえません! あたしがウワサの真相を確かめてまいります!」
「へっ!? メ、メメリア……?」
そうだ。
まずはセリアの憂いを取り除くことが第一だ。
下手に婚姻を断れないならば、相手から引かせればいい。
とはいえ、人のうわさは当てにならない。
極端に歪んだウワサなんていくらでもあるのだから、ネリウス王子も意図的に歪められている可能性がある。
性に奔放な人を嫌がるセリアでも、誤解して嫌ったままでいるのは望まないはず。
ならばメメリアがすべきことは、噂の真相を確かめ、セリアを安心させること。
……好きな人がいると告げられれば、一抹の不安はあるけれど。
真相を知り、どうするかはセリアが決めること。
メメリアはそれに従うだけ。
好きな人との愛を貫けと言いたいけれど、セリアの迷いも意志も奪いたくないから。



