サソリは聖女見習いの激愛に猛毒を刺す【一話だけ】

リヴィアンもしっかりと聞き取っていたようで、目を見開いて息を飲む。

一度口にしてしまえば、メメリアの理性は飛び、にやけた顔をむき出しにしてリヴィアンの両手を掴んだ。


「提案! ネリウス王子を更生させよう!」

「! はっ……いったい何を」

「リヴィがお仕えすることを誇りに思えればいいでしょう!? そしたらあたしもセリア様にイヤな報告をしなくて済む!」

ネリウス王子が嫌だから好きな人を、なんて悲観的に走るのではなく、しっかりと天秤にかけて決めてほしい。

責任感が強く、国の安寧を願うセリアが苦しまなくていい道を。

もしネリウス王子がセリア一筋になって、良き王族として更生してくれれば、両国の未来は明るいだろう。

それでも好きな人といたいなら、そうすればいい。

その時は全力でセリアの味方でいるだけのこと。

誰を選んでもメメリアは祝福する。

セリアが悲しさに意志をはく奪されることのないように。

ダイヤモンドよりも美しい心を汚さないためにメメリアがいる。

この命はセリアのためにある。そのことを忘れるな。

生も死も、すべてはセリアへの恩義だから。