それを満たしてみたいと思うくらいには、メメリアに毒は効かない。
(見てみたいな。本物のアンタレス)
リヴィアンの手を振り払い、毒針を引っこ抜く。
首から流れた血を指で拭い、ペロリとひと舐めした。
鉄臭い味はいつ舐めても好ましいものではない。
だが体内に毒が侵食する前に分解できていると安堵し、首にハンカチをあてて止血した。
「ごめん。あたしには毒が効かないの」
二ッと歯をみせて笑えば、リヴィアンはハッとして懐から短刀を取り出し、メメリアの眼前に突きつける。
臆することなく、メメリアは首を傾けて器用に避けていた。
メメリアはセリアに忠誠を誓ったとき、聖女見習いでいるだけでは守れないと悟った。
無力に嘆いていたメメリアは、いつでもセリアの身代わりになれるようその身を守護者として鍛えた。
護身術はもちろん、いつでも刺客となって戦うことも出来る。
なによりメメリアが自己犠牲に身に着けた毒耐性が、何度もセリアの危機を救った。
王女であり、聖女でもあるセリアは命を狙われることが多かった。
毒味役はいたが、信じられるのは自分たちだけ。
メメリアは毒味役を買って出るだけでなく、護衛として刺客を打ち払ってきた。
この程度の毒でメメリアは殺せない。
「……お前も似たようなものか」
「えっ?」
弱さは見せまいと不敵に笑っていると、リヴィアンはもの寂しげに苦笑し、短刀を引っ込めた。
赤い瞳に光が宿る。
虚ろな瞳もほの暗くて素敵だが、光がさすと本当にアンタレスのように強い輝きを放っていた。
「……好き」
思わずそう呟いていた。
(見てみたいな。本物のアンタレス)
リヴィアンの手を振り払い、毒針を引っこ抜く。
首から流れた血を指で拭い、ペロリとひと舐めした。
鉄臭い味はいつ舐めても好ましいものではない。
だが体内に毒が侵食する前に分解できていると安堵し、首にハンカチをあてて止血した。
「ごめん。あたしには毒が効かないの」
二ッと歯をみせて笑えば、リヴィアンはハッとして懐から短刀を取り出し、メメリアの眼前に突きつける。
臆することなく、メメリアは首を傾けて器用に避けていた。
メメリアはセリアに忠誠を誓ったとき、聖女見習いでいるだけでは守れないと悟った。
無力に嘆いていたメメリアは、いつでもセリアの身代わりになれるようその身を守護者として鍛えた。
護身術はもちろん、いつでも刺客となって戦うことも出来る。
なによりメメリアが自己犠牲に身に着けた毒耐性が、何度もセリアの危機を救った。
王女であり、聖女でもあるセリアは命を狙われることが多かった。
毒味役はいたが、信じられるのは自分たちだけ。
メメリアは毒味役を買って出るだけでなく、護衛として刺客を打ち払ってきた。
この程度の毒でメメリアは殺せない。
「……お前も似たようなものか」
「えっ?」
弱さは見せまいと不敵に笑っていると、リヴィアンはもの寂しげに苦笑し、短刀を引っ込めた。
赤い瞳に光が宿る。
虚ろな瞳もほの暗くて素敵だが、光がさすと本当にアンタレスのように強い輝きを放っていた。
「……好き」
思わずそう呟いていた。



