夜に黒づくめになって、怪しさの塊だ。
……妖艶でステキ、と言ってもいいくらいに心臓は打たれている。
「リヴィ。あなた、何者ですか? 普通の側近ではないでしょう?」
「……側近ですよ。王子を守ることが俺の務めです」
「ウソ」
リヴィアンから忠誠心なんて感じられない。
ネリウス王子に従える事態、何の関心もないくらい淡々としている。
メメリアがセリアを大切に想う気持ちとはほど遠い。
そう思い、胸の高鳴りは引っ込めて強気にリヴィアンを睨みつける……と、唐突に首にチクリとした痛みが走った。
――ドクンッ……!
(あ……)
これは”毒”だ。毒針を刺された。
リヴィアンに? なぜ?
首筋から痺れがまわり、メメリアは歯を食いしばって毒針をさすリヴィアンの手を掴む。
口の端から血が溢れ、地面に一滴二滴と血が落ちた。
「悪いな。ネリウス王子を守ることが俺の務めなんだ」
「どう……して……」
忠誠心もなく、ネリウス王子に呆れさえ抱いているのに。
殺すと言っているわけでなく、ただ婚約破棄にもっていきたいだけ。
それはリヴィアンにとって都合の悪いことなの?
ネリウス王子の不都合を守ることがリヴィアンの役目なのだとしたら……。
「! お前……」
頬に静かに涙が伝った。
リヴィアンの目が見開かれ、メメリアはやけくそに涙を拭う。
「悲しいよ……」
きっかけはセリアに命を救われたから。
だけど忠義に至ったのはセリアの人柄に惚れてのこと。
守るに値する人だからメメリアは身を粉にして強くなった。
リヴィアンは何のためにネリウス王子に仕えるの?
もし、ネリウス王子が守るに値する人ならばその瞳はもっと輝いていた?
赤い瞳は美しいけれど、ガラス玉のように希薄で空っぽだ。
……妖艶でステキ、と言ってもいいくらいに心臓は打たれている。
「リヴィ。あなた、何者ですか? 普通の側近ではないでしょう?」
「……側近ですよ。王子を守ることが俺の務めです」
「ウソ」
リヴィアンから忠誠心なんて感じられない。
ネリウス王子に従える事態、何の関心もないくらい淡々としている。
メメリアがセリアを大切に想う気持ちとはほど遠い。
そう思い、胸の高鳴りは引っ込めて強気にリヴィアンを睨みつける……と、唐突に首にチクリとした痛みが走った。
――ドクンッ……!
(あ……)
これは”毒”だ。毒針を刺された。
リヴィアンに? なぜ?
首筋から痺れがまわり、メメリアは歯を食いしばって毒針をさすリヴィアンの手を掴む。
口の端から血が溢れ、地面に一滴二滴と血が落ちた。
「悪いな。ネリウス王子を守ることが俺の務めなんだ」
「どう……して……」
忠誠心もなく、ネリウス王子に呆れさえ抱いているのに。
殺すと言っているわけでなく、ただ婚約破棄にもっていきたいだけ。
それはリヴィアンにとって都合の悪いことなの?
ネリウス王子の不都合を守ることがリヴィアンの役目なのだとしたら……。
「! お前……」
頬に静かに涙が伝った。
リヴィアンの目が見開かれ、メメリアはやけくそに涙を拭う。
「悲しいよ……」
きっかけはセリアに命を救われたから。
だけど忠義に至ったのはセリアの人柄に惚れてのこと。
守るに値する人だからメメリアは身を粉にして強くなった。
リヴィアンは何のためにネリウス王子に仕えるの?
もし、ネリウス王子が守るに値する人ならばその瞳はもっと輝いていた?
赤い瞳は美しいけれど、ガラス玉のように希薄で空っぽだ。



