本格的なお務めははじめてであるが、それなりに自信はあったとしょげてしまう。

このままリヴィアンに反逆者として殺されてしまうだろうかと、悲嘆に暮れた。

この気持ちを恋と呼ぶべき?

そんな想いを抱けた相手の処罰されるならば本望?


いいや、ダメだ。

セリアを悲しませるわけにはいかない。

無事にネリウス王子の実態を把握し、婚約破棄に至れるだけの材料を揃える。

そして笑顔でセリアのもとへ帰るんだ!

……でも、やっぱりリヴィアンは美しくて素敵。

赤い瞳はオリオーンを刺したサソリのように鋭くて、夜色は星に当てられると青銀に輝くの。

はじめての感覚にメメリアはのぼせて、リヴィアンから目を反らせなかった。

熱い眼差しを受け、リヴィアンが困り果ててため息を吐く。

「それで、目的は?」

「目的?」

「ネリウス王子に危害を加える気はない。が、狙いはあるだろう? 言え」

「はぅっ……!」

辛辣な眼差しが痛い。
なのに何故だかキュンキュンと胸が高鳴る。

これが恋なのか? 恋なのか!?

赤い瞳に刺された気分となって、毒に浮かされたように緩い口は暴露してしまった。

「セリア姫にふさわしい男かを見極めに来たのです。ネリウス王子の悪評はプレアデス国にも届くほど。そんな相手にあたしの大大大好きなセリア姫をお任せ出来ません。まずは事実確認をと思い、侍女としてまいりました」

ウワサを弾き返すどころか、ずぶずぶと悪評が露呈していく道に進みだしているのが難点だ。

決めるのはセリアだが、婚約破棄にいたれるだけの材料は簡単に集まりそうな勢い。

案外、セリアが身を使って行動に出るまでもなさそうだ。

この身はセリアを守るために作り上げたもの。