「行っちゃったな……。」
徠が珍しくしょんぼりとしている。なんだか、可哀想になってくるな。ここまで噛み合ってないと。
「はぁ、有栖と一緒に登校できるチャンスだったのに……。」
こちらに一瞬恨めしげに目を向け、遠くに見える有栖の背中を見つめている。どうせ揺れるポニーテールが可愛いなどと、くだらないことを考えているのだろう。
「仕方ない、柊、行くか。」
今度は一瞥もせず、そう言ってスタスタと歩き出す徠。うーん。俺たち友達だよな?と、思わなくもない。認めたくないが、将来の弟になるだろう親友の恋路を邪魔する訳にも行かないので、この扱いにも甘んじてやろう。
なんて生産性のないことを考えつつ、先を行く徠を小走りで追いかける。全くうちの総長も妹も手がかかるなぁ。
