翌朝、爽やかな気分で目を覚ました。今日は体調がいい気がする。うん、元気なことはいいことだからね。
なーんて、考えながら体は着々と学校に行く支度をしている。
気づけば、時計の針は7:50をさしていた。8時までに学校に着きたいな……。家を出る前に、お兄ちゃんに一応声をかけにいこうかな。一緒に行くのか分かんないけど……。
「お兄ちゃん!私、もう家出るけど、一緒に行く?」
「……。直前で、本当に、申し訳ないのだか、徠が家の前に来ているらしい。」
苦虫を噛み潰したような顔で答えている。今が爽やかな朝とは思えない顔してるなぁ。
……。えっと、お兄ちゃんは徠さんと一緒に行くのかな?
「そっか!じゃあ私一人で行くね!じゃ!」
お兄ちゃん達の邪魔にならないようにさっさと学校に行っちゃおう!……なんて考えていました。この時の私は。
少し慌てた様子のお兄ちゃんを無視して玄関に向かう。
スクバ片手に、元気よく玄関を飛び出し、家の門を通り過ぎ、いつもの道を右へ曲がる。
すると、突然背後から長い手が伸びて来た。
石鹸みたいな香りとともに暖かい体温が私をぎゅっと包み込む。
「……おはよぉ……有栖…。」
少し眠たげな声が後ろから聞こえる。
あまりに突然の事に驚いて、後ろを振り向けば、恐ろしく整った徠さんの顔。
あまりの眩しさに咄嗟に距離をとる。朝日の眩しさなんて比にならない。
「えっ、な、なんですか……!」
つい、距離を取ってしまったことを誤魔化すため……ではなく、朝なので、朝なので!挨拶をする。美少女は一日にしてならず。私のモットーである。
心臓の音が聞こえてなかったことを信じて、苦言を呈しておく。……恥ずかしさを誤魔化すためなんかじゃないんだぞ。今、私の耳が真っ赤だったとしても!
「……おはようございます。徠さん。余計なお世話かもしれませんが、あんまり女の子にこーゆー事しない方がいいですよ。」
(胸が高鳴る、なんてもんじゃなく、心臓が破裂してしまうので。)
「それに、徠さんくらいの美形だと、すぐ惚れられちゃいますからね。」
(老若男女関係なく、ね。)
「ん……。有栖も?そうだったら、嬉しいけどな。」
羨ましいくらい綺麗な髪を揺らして楽しそうに聞いてくる先輩。
「私は……どうでしょうね?秘密です!」
負けじと可愛らしく返してみる。……今の私の顔は赤くないだろうか?
と、まぁ、こんなことをしていたら兄もやってくる訳で。
「お前ら、早く行かないと遅刻するぞ。」
まるでバカップルを見るような目で私たちを見ながら言う。
急いで時計を見る。……や、やばい!もう8時だ!
「お兄ちゃん、徠さん!早く行きますよっ!」
そういいつつ、私の足は走り出していた。
隣で風がびゅうびゅうと鳴っている。そして目に映る景色がどんどん変わっていく。
んん?2人の姿が見えない……?
まあ、追いつくでしょ!と、絶対に遅刻したくない私はそう思い込んでダッシュで学校へ向かった。
