「よし、行こうね。アルス。」
「ん...いく。」
……どこに?
うーん?まぁ、この腕の中は安心できるってことだけはわかる。細かいことは置いといて身を任せよっと……。
こーゆー時は深く考えない方がいいんだ。余計なことまで分かっちゃうからね。
「アルス、ついたよ。」
優しい声が私を呼んでいる。
大人しく心地よい振動に身を任せていたら、ピタリと振動が止まった。どうやら目的地に着いたみたい……?
大きな洋風の屋敷が見える。とても素敵な建物だ。例えば吸血鬼が住んでいそうな、ね。
「あ、私の家だ……」
クスリと笑って、割れ物を扱うかのようにネモが私を地面にそっと下ろす。
「今日はもうお別れだね。じゃあまた明日。」
寂しげな表情でネモが私の頭を撫でつつ、言う。
少しの恥ずかしさを隠しつつ、私も返す。
「うん、またあしたね。ネモ。」
なんだか、仲良くなった気がするからちょっと手を振ってみる。こそばゆいけどね。
ネモは、とっても嬉しそうに手を振り返してくれる。
日常の一コマがとても楽しくて煌めいて見えた。
こうして長い一日が終わった。
