(球技大会の余韻に浸る間もなく、私たちは修学旅行にやって来た)
「来たぜ!夢の北海道!!」
菅が空港ではしゃぎだす。
「雪は降ってないけど、やっぱり結構寒いねー」
「だねー」
移動用のバスに到着し、さゆかが荷物をトランクに入れようとすると
スッ
菅が代わりに持ち上げ、積み込んだ。
「あっ、ありがと」
「ほら」
自分の左肩を右手でトントンしながらそう言い、何事もなかったかのようにバスに乗り込んでいく。
(あ、肩の痛みを心配してくれたんだ。菅って何も考えてないようで、周りのことよく見てるよねぇ)
バスの車内。
「なぁ、明日って加藤と3人?」
横並びに座るさゆかと麻由に後ろの座席から身を乗り出し話しかける菅。
(明日の自由行動は、クラス関係なくグループでも1人でも行動していいことになっている)
「うん、そうだけど」
「せっかくだし、一緒に行動しようぜ!」
「友美に聞いてみないと分かんないけど、菅は誰と行くの?」
「こいつ」
隣に座る真野を親指で指差した。
「あと、矢田も誘ってる」
(矢田くん…)
「え、矢田くんと真野って絡みなくない!?部も違うし、クラスも一緒になったことないよね?」
麻由が不思議そうに真野に聞く。
「俺、矢田と同中。中学の時から仲良し」
真野がざっくり説明する。
「へぇー、知らなかった。さゆかが大丈夫なら、というか矢田くんが気まずくないならいいけどね」
「そうだよ、私よりも矢田くんの許可を」
「取ってるよ、許可。友達として思い出作りたいって言ってた」
1日目はクラスごとに観光スポットを巡る。さっぽろ羊ヶ丘展望台に着いた2組は、クラーク博士像と記念撮影を行う。
「うわぁ、何だっけ。少年よ…希望…」
「少年よ、大志を抱け」
「そー!それだそれ!やるな真野!」
その後も、札幌市時計台や大通公園の噴水などを楽しむ2年2組。
観光スポットを巡り終え、宿泊するホテルに着いた一同。
18時過ぎ。ホテルのバイキング会場には、続々と生徒達が各部屋から集まってくる。
「やばー!海鮮パラダイスー!!」
席は自由だったため、さゆかは元1年3組の女子数人と食べていた。
さゆか達が食べ終えて会場ドアに行こうとしていた時、1人の男子が菅に声をかけていた。
「すがー、向こうで女子が呼んでるー」
「俺?誰だろ…」
首を傾げながら呼ばれた場所へ向かう菅。
会場を出てさゆかが周りを見ると、出入り口から少し離れた所で、菅と女子が話している。
(あの子たしか、男バレのマネージャーだよね)
少し頬を赤く照れているようだった。
さゆかは先に部屋に戻り、麻由と友美は自動販売機コーナーに寄っていた。そこに菅が通りかかった。
「あっ」
「よっ!俺もなんか買おーっと」
自動販売機の前で悩み出す菅に友美が問いかける。
「ねぇ、さっき何の話してたの?」
「えっ、あーなんか、明日一緒に行動しないかって誘われた。…これにしよ」
ガコンッ
「え、まじで!?返事どうしたの?」
「もちろん、友達といくからごめんって断ったよ。それにほとんど絡んだことないし、いきなり2人きりもなぁ」
2人の会話を黙って聞く麻由。
「絡んだことないのに菅に好意持ってるんだね。バスケ部とバレー部って練習場所違うよね?」
「そーだよ。なんか、体育祭や球技大会の活躍見て、気になったみたいなこと言ってくれたんだけど」
「ついに菅にもモテ期かぁー」
「そう思う!?え、もしかしてバレンタイン大量に…」
「ごめん、そこまでの保証はない」
「んだよー。ま、明日は6人で楽しもうな!おやすみー」
「おやすみー」
ジュース片手に戻っていく菅を見届け、少し無言になる麻由と友美。
「麻由は明日、菅と2人じゃなくていいの?」
「えっ?なんでよ」
「好きなんでしょ?菅のこと」
「…バレてた?」
「菅を見る目が、隠してても恋する乙女だもん。まぁ、さゆかは推しや矢田のことがあって、珍しく気づいてないけどね」
「強がってるわけじゃなくて、せっかくの修学旅行だから私は友美たちと楽しみたいよ。それに菅…さゆかのことずっと好きじゃん。よく見てたら嫌でも分かる。だから明日は6人がみんなにとって正解なのよ」
「でも、さゆかは彼氏にしか興味ないし、菅だって前に矢田のこと応援してたし、違うかもよ?」
「さゆかが自分に興味なくても、友達がライバルになっても、まっすぐにさゆかを想ってるのが菅なんだよ。焦って告白するわけでもなく、自分の気持ちに嘘ついて誰かと付き合うわけでもなく、地道に自分の存在や想いを伝えてる」
「なんか、それだけ聞くと菅めちゃくちゃ健気で良い男だね」
「ふふふ、良い男なんだよ。だからかな、菅の恋がうまくいってほしい気持ちもあったりするんだよね。さゆかの恋もうまくいき続けてほしいし…恋愛って面倒だね」
2日目。朝食を食べ終え、ロビーに集合する6人。
「おはよー」
「おはよう。前半は男子の行きたいとこ、後半は私たちの行きたいとこでOK?」
「うん、それでいこう!」
快速エアポートに乗り移動する6人が着いたのは小樽。小樽運河や堺町通りを観光した。
「来たぜ!夢の北海道!!」
菅が空港ではしゃぎだす。
「雪は降ってないけど、やっぱり結構寒いねー」
「だねー」
移動用のバスに到着し、さゆかが荷物をトランクに入れようとすると
スッ
菅が代わりに持ち上げ、積み込んだ。
「あっ、ありがと」
「ほら」
自分の左肩を右手でトントンしながらそう言い、何事もなかったかのようにバスに乗り込んでいく。
(あ、肩の痛みを心配してくれたんだ。菅って何も考えてないようで、周りのことよく見てるよねぇ)
バスの車内。
「なぁ、明日って加藤と3人?」
横並びに座るさゆかと麻由に後ろの座席から身を乗り出し話しかける菅。
(明日の自由行動は、クラス関係なくグループでも1人でも行動していいことになっている)
「うん、そうだけど」
「せっかくだし、一緒に行動しようぜ!」
「友美に聞いてみないと分かんないけど、菅は誰と行くの?」
「こいつ」
隣に座る真野を親指で指差した。
「あと、矢田も誘ってる」
(矢田くん…)
「え、矢田くんと真野って絡みなくない!?部も違うし、クラスも一緒になったことないよね?」
麻由が不思議そうに真野に聞く。
「俺、矢田と同中。中学の時から仲良し」
真野がざっくり説明する。
「へぇー、知らなかった。さゆかが大丈夫なら、というか矢田くんが気まずくないならいいけどね」
「そうだよ、私よりも矢田くんの許可を」
「取ってるよ、許可。友達として思い出作りたいって言ってた」
1日目はクラスごとに観光スポットを巡る。さっぽろ羊ヶ丘展望台に着いた2組は、クラーク博士像と記念撮影を行う。
「うわぁ、何だっけ。少年よ…希望…」
「少年よ、大志を抱け」
「そー!それだそれ!やるな真野!」
その後も、札幌市時計台や大通公園の噴水などを楽しむ2年2組。
観光スポットを巡り終え、宿泊するホテルに着いた一同。
18時過ぎ。ホテルのバイキング会場には、続々と生徒達が各部屋から集まってくる。
「やばー!海鮮パラダイスー!!」
席は自由だったため、さゆかは元1年3組の女子数人と食べていた。
さゆか達が食べ終えて会場ドアに行こうとしていた時、1人の男子が菅に声をかけていた。
「すがー、向こうで女子が呼んでるー」
「俺?誰だろ…」
首を傾げながら呼ばれた場所へ向かう菅。
会場を出てさゆかが周りを見ると、出入り口から少し離れた所で、菅と女子が話している。
(あの子たしか、男バレのマネージャーだよね)
少し頬を赤く照れているようだった。
さゆかは先に部屋に戻り、麻由と友美は自動販売機コーナーに寄っていた。そこに菅が通りかかった。
「あっ」
「よっ!俺もなんか買おーっと」
自動販売機の前で悩み出す菅に友美が問いかける。
「ねぇ、さっき何の話してたの?」
「えっ、あーなんか、明日一緒に行動しないかって誘われた。…これにしよ」
ガコンッ
「え、まじで!?返事どうしたの?」
「もちろん、友達といくからごめんって断ったよ。それにほとんど絡んだことないし、いきなり2人きりもなぁ」
2人の会話を黙って聞く麻由。
「絡んだことないのに菅に好意持ってるんだね。バスケ部とバレー部って練習場所違うよね?」
「そーだよ。なんか、体育祭や球技大会の活躍見て、気になったみたいなこと言ってくれたんだけど」
「ついに菅にもモテ期かぁー」
「そう思う!?え、もしかしてバレンタイン大量に…」
「ごめん、そこまでの保証はない」
「んだよー。ま、明日は6人で楽しもうな!おやすみー」
「おやすみー」
ジュース片手に戻っていく菅を見届け、少し無言になる麻由と友美。
「麻由は明日、菅と2人じゃなくていいの?」
「えっ?なんでよ」
「好きなんでしょ?菅のこと」
「…バレてた?」
「菅を見る目が、隠してても恋する乙女だもん。まぁ、さゆかは推しや矢田のことがあって、珍しく気づいてないけどね」
「強がってるわけじゃなくて、せっかくの修学旅行だから私は友美たちと楽しみたいよ。それに菅…さゆかのことずっと好きじゃん。よく見てたら嫌でも分かる。だから明日は6人がみんなにとって正解なのよ」
「でも、さゆかは彼氏にしか興味ないし、菅だって前に矢田のこと応援してたし、違うかもよ?」
「さゆかが自分に興味なくても、友達がライバルになっても、まっすぐにさゆかを想ってるのが菅なんだよ。焦って告白するわけでもなく、自分の気持ちに嘘ついて誰かと付き合うわけでもなく、地道に自分の存在や想いを伝えてる」
「なんか、それだけ聞くと菅めちゃくちゃ健気で良い男だね」
「ふふふ、良い男なんだよ。だからかな、菅の恋がうまくいってほしい気持ちもあったりするんだよね。さゆかの恋もうまくいき続けてほしいし…恋愛って面倒だね」
2日目。朝食を食べ終え、ロビーに集合する6人。
「おはよー」
「おはよう。前半は男子の行きたいとこ、後半は私たちの行きたいとこでOK?」
「うん、それでいこう!」
快速エアポートに乗り移動する6人が着いたのは小樽。小樽運河や堺町通りを観光した。



