影幻と陽光

side蓮舞
「……話せるか?」

そう言った瞬間、流華の肩が小さく揺れた。

やっぱり避けられてる。でも、今日は引かない。

人の少ない廊下を見回し、声を落とす。

「……昨日から、避けてるだろ。理由はわかってる」

流華は黙ったまま、視線を落とす。

その横顔が、なんだか痛々しく見えた。

「でも、言わせてくれ。俺がお前を遠ざけてるのは……お前を守るためだ」

――守るため。

そんな言葉を口にするのは柄じゃない。けど、それが本当なんだ。

「神龍と古蔵。敵対してるってのはわかってる。けど学校でまで知られたら……お前が狙われる」

言葉を選びながら、強く言い切る。

「だから俺は、わざと距離を取ってる。でも……本当は、近づきたいんだ」

流華の瞳が、わずかに揺れる。

その反応に胸が熱くなる。

「学校じゃ普通の同級生でいい。友達って思われて構わない。けど……せめて、お前には誤解されたくなかった」

そこで言葉を切った。

心臓がやけにうるさく響く。

――これで、少しは伝わっただろうか。

流華はしばらく黙っていた。 

でも、その沈黙さえ、俺には希望に思えた。