教室に戻っても、ドキドキは止まらなかった。 「黒田 蓮」って名前が、頭の中で何度もリフレインする。 ……黒田 蓮。 どうしてあたし、今まで気づかなかったんだろう—— 同じ校舎の中にいたのに。 同じ時間を、すぐ近くで過ごしていたはずなのに。 顔を見た瞬間、心の奥が、ぐっとつかまれた。 ただすれ違っただけ。それだけなのに。 ……どうしよう。 もう、頭から離れないよ——あの人のこと。