「……でも、怖い。伝えて、もしダメだったらって思うと」


「そりゃ怖いよ。それだけ本気で好きってことだもん。でもさ」



千紗が立ち止まり、こちらを振り向く。 


夕方のオレンジ色の光が、真剣な表情をくっきり照らしていた。


「このまま言わなかったら、それこそ、水野くんとはもう会えないかもしれないんだよ?それでもいいの?」


「……やだ…」


「でしょ?だから、ちゃんと気持ち伝えて、好きな人の隣、勝ち取りに行きなよ。

もし当たって砕けたって、あたしが全力で慰める。梓が立ち直れるまで、アイスもポテチも、炭酸もお酒も全部持ってくから」


「千紗……っ」


千紗の視線が、まっすぐに私を押し出すみたいだった。


その瞳の力強さに、胸が熱くなる。



「大丈夫。全力でぶつかっておいで。どんな結果でも、あたしが全部受け止めてやる!」


「……ありがとう、千紗」


「だからさ。明日、ちゃんと伝えてきな」


「……うん。頑張る」



手が少し震えているのがわかる。
でも、心は前に向いていた。