バイトのシフトを見るたびに、胸がぎゅっと締めつけられる。
その日は、刻一刻と迫っていた。
「凪が辞める」――その現実がまだうまく飲み込めなくて、目の前にいる彼の言葉や態度が、どこか遠く感じてしまう。
「藤宮さん、それ、俺やっとくから、先に休憩行っていいよ」
凪がそう言って、優しく微笑む。
その笑顔はいつもより少しだけ角度が柔らかくて、声のトーンもほんの少しだけ優しくて。
「えっ? あ、ありがとう…」
思わず胸がきゅっと痛む。
その優しさが逆に胸を締めつけるようで、嬉しいのに切なくて、どうしていいかわからなかった。
凪は何気なく言っただけなのに、その一言と笑顔が心の奥まで届いて、目頭が熱くなる。
彼の優しさが、もうすぐ終わる日々のカウントダウンを教えているようで、言葉にならない切なさが胸に広がった。

