毒舌男子の愛は甘い。

梓が本当に誰かを選んで、その誰かが自分じゃなかったら──そう考えるだけで、胸の奥が重くなる。


でも、あの日、自分が言った選ぶ恋を、梓はちゃんとやっている。



それが、嬉しい。けど、苦しい。








———それからも、やっぱりどう動けばいいのかわからなくて、気づけば言葉を飲み込み、会話が減っていった。


距離を縮めたいのに、なぜか遠ざけてしまう。



ちょうどその頃、実習のスケジュールが本格的に決まり──



頭の片隅にあった考えが、現実になりつつあった。







バイトを、辞めることが。