遊園地に行った日、観覧車の中で、三浦さんに言われた言葉が、最近やたらと頭をよぎる。
『梓ちゃん、たぶん、かなりモテるから動かないと、とられるよ?』
それに、「今はまだ、いいです。」なんて、返したけれど、本当は冗談として受け流せなかった。
それ以来、梓が他の男と話しているのを見るたび、その言葉が耳の奥で繰り返される。
特にあの悠人との、バイト中の軽口なんて、胸の奥をざわつかせるには十分すぎた。
自分に自信があるわけじゃない。
口が悪い自覚あるし、態度もそっけないし、実際、そのせいで、梓を泣かせてしまったこともある。
だから、踏み込むタイミングもわからなくて──気づけば、少し距離を置いた態度になってしまっていた。
今日もそうだ。

