絶叫系を制覇しよう!
という佐久間さんの勢いのまま、最初に並んだのは、大きなジェットコースターだった。
列に並びながらも、胸の中はまだ落ち着かない。
(……やっぱり、水野くん、さっきちょっと変だった)
何も言わなかったけど、あの一瞬の固まり方。
「可愛すぎて、困る」なんて、あんなぼそっと。
幻聴じゃないよね…?
あれって、やっぱり、私のこと……?
いや、でも……そんなわけないよね。
あの水野くんが、そんなこと言うはずが…。
きっと偶然、たまたま。
「梓ちゃん、そろそろ怖くなってきたんじゃない?チキンの顔してるよ〜?」
「ええっ、ば、ばれました?……ちょっとだけ絶叫系こわいかも、です…」
「正直でよろしい!じゃ、俺の横ね〜♪」
佐久間さんが当然のように私の隣に並ぼうとしていたとき、
すっと背後から差し込まれるように声がした。
「俺が隣、いい?」
凪だった。
「えっ、うん……!」
思わず顔が熱くなる。
佐久間さんが「チェッ」と舌を鳴らして冗談っぽく拗ねて、三浦さんに「こらこら邪魔しないの」と言われ引っ張られていった。
(なんで……水野くん、自分から?)
乗り場が近づくにつれて、ドキドキが加速する。
乗ることへの緊張じゃない。
水野くんと隣同士で、しかも、こんな距離で──。

