隣を歩き出した彼女が、自分の服装を気にして少し気まずそうに目線を下げたのが視界の端に入った。



(……不安そうにすんなって)



ちがう。違うんだよ。



すれ違う奴らが振り返るのは、変だからじゃない。


見惚れるくらい、魅力的だからだ。



でもそれを、口に出す勇気はなくて──
俺は、抑えきれない本音を低くこぼした。


「……はぁ……まじで、可愛すぎて、困る」


「えっ……?」



「別に……なんでもない」



小さく視線を逸らして、それきり口を閉じた。


(……頼むから、今日一日、誰にも触られんなよ)


そんな理不尽な願いが、心の中でぐるぐる回っていた。



と同時に、自分でも呆れるほど、ずっと彼女のことを目で追っていた。