毒舌男子の愛は甘い。

「よーし! チケット買ったらまずはジェットコースターね!絶叫系ひと通り制覇しよ!」

「私はチュロス食べたい〜!」


佐久間さんと三浦さんがテンション高く盛り上がる中、


私と水野くんは少しだけ距離を保ちながら、その後ろを歩いた。



すれ違う人たちの視線が、自分に向くのがわかる。


そのたびに、胸の中がざわついた。



(やっぱり……ちょっと派手すぎたかな。変じゃないかな……)



そんな不安が浮かんだとき、隣を歩く水野くんが、ふとぽつりと呟いた。



「……はぁ……マジで、可愛すぎて、困る……」

「えっ……?」


思わず聞き返すと、凪はすぐに視線を逸らし、そっけなく言った。


「……別に。なんでもない」


でも、その横顔は、どこか照れくさそうで。


胸の奥が、きゅうっと熱くなる。



(……今のって、私のこと……?)



鼓動がまたひとつ跳ねた。



今日という一日が、
きっと、特別な日になる。



そんな予感が、静かに、でも確かに胸の奥に広がっていた。