毒舌男子の愛は甘い。



週末のショッピングモール。



気合いが入っているのは私だけじゃなかった。


……というか、たぶん千紗のほうが上。



「はい、次これ着て!」



満面の笑みで手渡されたのは、ハイウエストの黒いショートパンツと、ウエストできゅっと絞られたシフォンのブラウス。


「えっ、ショートパンツ!? ……ちょっと、これ短くない?」


鏡越しに渡された服を見て、思わず眉を下げる。



「短くないって。むしろ絶妙な丈感。しかもこの素材、ちゃんと上品だから全然カジュアルすぎないし、ブラウスもちょっと透け感あって大人っぽく見えるでしょ?」


「でも遊園地だよ? そんなに気合い入れていいのかな……」


「だからこそでしょ? “水野くんが思わず目で追っちゃう服”がテーマだから!」


「えぇぇ……」


「ギャップ狙いって大事なの。普段の梓からちょっとイメチェンするだけで、印象ってガラッと変わるんだから。さっ、試着室行って!」

 


背中を押されるようにして、私は試着室へと押し込まれる。