毒舌男子の愛は甘い。





「ってことは、コーデ買いに行くでしょ。週末、空いてる?」


「え?う、うん……」


「はい決まり。ショッピング決行〜!!」


「ちょ、ちょっと待って、そんないきなり…」


「何言ってんの!恋の勝負服は、女の命だから!!」


「いや勝負するつもりは……」


「するの!今まで自分から“選ぶ恋”してこなかったって言ってたじゃん?だったら今回は、自分で勝ち取りにいくの。わかった?」


「……は、はい…」



梓は思わず笑って頷いた。


千紗のまっすぐな目が、なんだか頼もしくて、泣きそうになる。


(私、恋してるんだな……ちゃんと)



友達に背中を押されるこの感じも、悪くない。


何より、誰かのために「可愛くなりたい」と思える気持ちが、



こんなにも前向きなことなんだって、今さら気づいた。