「……あのさ、千紗」
大学の学食にて。
食後のカフェラテを両手で包みながら、梓はぽつりと切り出した。
「んー?」
千紗はストローをくるくる回しながら、顔だけを向ける。
「私、たぶん……水野くんのこと、好きになった」
その一言に、ストローの動きがピタッと止まった。
「……は?」
目を見開いて固まる千紗。
「え、ちょ、待って、なに?今さらすぎない??」
「今さらって……私も、最近ようやく気づいたの」
「気づくの遅っ!!あの夜カフェのあとから恋の予感あったじゃん!バイト先同じ時点でフラグ立ってたじゃん!」
「ご、ごめん……なんか、自分でも気持ちがよくわかんなくて……」
「わかるわかるよ。ついに自覚しちゃったやつね。えっ、てことは、」
バンッと手を叩く千紗。
「さっき話してた遊園地行くって話、あれってもしかして、水野くんと一緒なの!?」
「うん……バイトのメンバーで行くことになってて……」
「やばいじゃん!!もうそれ、絶対可愛くして行かなきゃじゃん!!」
「えっ、えっ、でもグループだし、そんな気合い入れたらバレるし……」
「いや、いいの。気合い入れすぎにみせない“ほどよ可愛い”が最強なの!あたしに任せて」
立ち上がらんばかりの勢いで、千紗がグッと身を乗り出す。

