毒舌男子の愛は甘い。



数秒後、スマホがピコンと鳴った。


「おっ……」


悠人がメッセージを見て、にやっと笑う。


「……来るってさ、凪」


「えっ!?」


驚きの声が、自然と梓の口からこぼれた。


(水野くんが……遊園地に……?)



思っていたよりずっとあっさりした返事に、ぽかんとする梓。


けれどその内側では、ぽつんと火が灯るように、じわじわと温かい気持ちが広がっていった。


(……えっ、嬉しすぎる。バイト以外で水野くんに会えるなんて)



そんな自分に驚きながらも、頬がほんのり熱くなるのを隠せない。


「……へぇ。誘ってみよって言ったものの、凪が遊園地って、ちょっと想像できないな〜」


三浦さんが首を傾げながら笑う。



その横で、悠人がわざとらしくニヤニヤしながら梓に顔を近づける。


「ま、梓ちゃん来るって言ったら、そりゃあ凪は来るよね〜?」


「えっ……!?」



思わず赤面する梓。


耳まで真っ赤になったのを、三浦さんに「わかりやすっ!」と笑われる始末。


(ち、違うよ、そんなわけ……)


でも、もし本当に、私が行くから水野くんも来るのだとしたら——


(……嬉しい、かも)


心の中にそっと湧き上がった気持ちを、誰にも悟られないように胸の奥に押し込めた。


(まあ…でも、そんな訳ないよね…?)



気まぐれだったとしても、凪とのお出かけが凄く楽しみになっていた。